通常、オフセット印刷では印刷時に大量の水を必要とします。
オフセット印刷とは、インキと水が反発する力を利用した印刷方式です。
詳しくは、こちらで紹介させて頂いておりますので、そちらをご覧下さい。
さて、その水は必要ではあるのですが、安定した印刷を行う際にもっとも不安定要素を含んだものであり、地域ごとの水質によるインキとの相性など複雑怪奇な現象を呈するものでもあります。
そこで水質を一定の基準値にするため、特殊な薬品・アルコール類などを水に混合し利用する方法が考えだされました。
しかし、薬品の混ざった水はとても地球に優しいというものではありませんでした。
その後、アルコールレスの薬品や機械によって濾過や電解質に変化を与えたりと、色々な取組みがなされてきたのですが、大量の水が必要であること自体に問題は残ります。また、品質安定についても水を利用する以上、印刷中の水温、気温、湿度、機上温度やインキの温度などにより絶えず変化する条件にオペレーターは経験による操作と微調整を余儀なくされていました。

そこで、その水を使わない印刷方式ができないかと考えだされたのが、水なし印刷です。
水なし印刷では、印刷用の判子にあたる刷版(さっぱんと読みます)にシリコーン樹脂を塗布し、インキがそのままでは乗らない工夫がされており、印刷部分のみレーザー光によりシリコーン樹脂を焼はがし、判子としました。
水なし印刷の詳細にについては、日本水なし印刷協会も参照下さい。

さて話は変わり、UVオフセット印刷について、少しお話します。
UVオフセット印刷とは、印刷方式はほぼ通常のオフセット印刷と変わる事のないものなのですが、大きな違いと言えば、インキの乾燥方式に違いがあります。
通常のオフセットでは、熱などによりインキ中の水分が飛び、酸素と結合することでインキの乾燥が行われます。
乾燥を促進させるため電熱器を排紙部分にとりつけたり、熱風を吹きかけて乾燥の促進をはかるものもありますが、急激な熱による強制乾燥は表面のみ乾燥をし、内部ではインキの成分が逆に溶け出してしまったり、表面も均一な乾燥が行われないため品質的に難が出る場合があります。
また、紙以外の素材(PET素材など)などへの印刷要求からUV(紫外線)照射による硬化インキを利用した印刷方式が発明されました。
用紙へ印刷直後にUVランプにより紫外線を照射し、インキを瞬時に硬化させます。(この場合は乾燥ではなく硬化ですね)
UVオフセット印刷の問題点として、UV照射装置自体が高価であった事と、使用には大量の電気を必要とする事。
また、UV照射装置から有毒なオゾンが発生することから専用の排換気ダクト設備が必要であるなど、経費は通常の3倍以上のコストが掛かり、特殊な高付加価値の印刷物以外では利用がなかなか叶いませんでした。
ここで、現れたのが、LEDを利用したUV照射装置です。
LED照射装置は電気使用量も低く、寿命も永い。オゾンの発生も無く、熱も発生しにくいため専用のダクトも必要としません。
夢のようなUV照射装置ではあるのですが、まだ照射量が低く、高感度のUV硬化インキの開発が必要でした。
最近では、ようやく紙用のインキが普及してきて当社も含め多くの印刷会社にも超短納期などの対応の必然性から導入が進められています。

ここで標題についての話題です。
UVオフセット印刷は、通常のオフセット印刷に比較して、水の扱いがとてもシビアとなります。
業界では「UV印刷は水幅が狭い」なんて言い方をします。
UVオフセット印刷でも水なし印刷はあるのですが、LED-UVオフセット印刷では、まだどこも実用化ができておりません。
当社では、水なし印刷の品質安定性と、eco性。LED-UVオフセット印刷の速乾性とeco性を掛け合わせることができないかと考えました。
多くのメーカーに協力をあおぎ、何度も失敗を繰り返しながらですが、実用化に目処がつき、今年4月の9日・10日にFFGS・東レ主催による内覧会にて多くの来場者にご覧頂くことができました。その際の記事が印刷ジャーナルに掲載されています。
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水なしLED-UVオフセット印刷の開発については、当社だけの技術ではなく、特に専用インキの開発に多大な協力を頂いた都インキ(http://www.miyakoink.co.jp/index.html)様の迅速な対応の賜だと考えます。
この技術は、印刷業界が抱える環境対応に大きな一歩を踏み出した事と、これからの印刷技術の向上へのインフラストラクチャとも言えるイノベーションをなし得たものと自負いたします。
当社をご利用頂くお客様にも、その技術による恩恵を享受して頂けるよう更に技術の研鑽に励んで参ります。
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