現在ではレトロな雰囲気の演出にと好まれることもある写植文字ですが、デジタルが普及する前は一般的な方式でした。
写植とは「写真植字」」の略で、手作業で一文字ずつ組んで版下を作成していました。

今でこそDTPで誰もが簡単に印刷物の版下を作り上げることができますが、ほんの数十年前までは職人技のように繊細な技術を必要とする仕事だったのです。

写植の原理

写植と呼ばれることが出版や印刷業界では馴染み深い写真植字は、その名の通り写真と似たような原理を用いられています。
フィルムに光で焼き付けた画像を印画紙にうつしたものが写真です。これと同じく、写植もネガフィルム状となった文字盤を使用します。
文字盤の中から1文字ずつ該当の文字や記号を探し出し、そこへ光を照射して印画紙に焼き付けます。
写真のように字を植え付けるような作業であることから、このように呼ばれています。

1文字ずつ焼き付けていく写植は行間の調節や形の変化に絶妙な技が求められるため、一人前の技術者になるには数年を要する仕事です。
そのため、写植と版下作成の作業を外注などで分けて行う業者も多く、印刷物の作成にはかなりの時間が必要とされていました。

手作業の写植からデジタルへ

そんな写植ですが、今では簡単に誰もが好きなデザインで作成することが可能となりました。それはパソコンがここ数十年で一気に一般家庭へ普及した背景が関わっています。

それまではオフィスデスク数個分と言えるほどの大きな機械だったコンピュータが卓上サイズにまで縮小され、機能も家庭用に厳選されたものが某コンピュータ会社から発売されました。
これに付随するように、PhotoshopをはじめとしたあらゆるDTP関連のソフトも次々と発売されていったのです。

家庭用コンピュータ、DTPソフトの普及により1990年代半ばにはパソコンを使用したデジタルでの写植が採用され出し、作業時間が短縮できる利点も手伝って、今では一般的な手法にまで上り詰めました。

手作業で行う写植に対し、ネガフィルムなどを使用しないこの手法は電算写植と呼ばれています。

手作業とデジタルの特徴

ネガフィルムを使用しない点、職人的な技術力を要しない点などから、デジタルの人気は絶大と言えます。
しかし、そのデジタルによる自由度が高まったデザイン業界では、その幅広い活用の余地が生まれたことにより、逆に手作業でのレトロ感の魅力が見直されています。

デジタルでは視覚上違和感を感じてしまう文字配置を、手作業なら微妙に調整することもできます。逆に手作業ゆえの配置やズレを楽しむ人もおり、名刺作成などで活躍しています。
デジタルが普及したことで再び脚光を浴びるようになった手作業での写植が、デジタルでのデザインの幅を広げるという相乗効果を生み出しているのです。

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